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山の日レポート

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通信員レポート

初夏の笹仕事

2022.07.07

全国山の日協議会

新潟県上越市の山奥で家族と共に小さな農業を営んで8年目になる鴫谷玉実さんからのレポートです。

かつて人々の生活の場であった山が、スポーツやレジャーの場として広く定着した今日においてなお、山に働きかけ、山の恵みを分けてもらいながら暮らす地域が日本各地にあります。
そんな地域の一つに移住した私が、地域の魅力や四季折々の様子を綴っていきたいと思います。
暮らしの場としての山に思いを馳せていただけると幸いです。

第一回は、初夏の笹仕事についてです

 雪解のフキノトウから始まった山菜リレーが一段落し、山々が深い緑で覆われる頃になると、村人たちの笹採りが始まります。スッと伸びた笹の若葉が展開し、黄緑色から深緑色になったら、さぁ収穫。
 笹なんて採ってどうするのと思う方が多いのではないでしょうか。かくいう私も、かつては笹と言えば笹舟を作って川に流して遊ぶくらいしかしたことがありませんでした。ところがこの地域では、笹は重要な素材。笹団子やチマキ、笹もち、押し寿司と笹が無くては作れない料理がたくさんあるのです。そのため、一年間分の笹をこの時期に収穫し、各家庭で保存したり、業者用に出荷したりしています。
 わが家も先日、子供たちと笹とりに繰り出しました。長女の柚希は、何故か笹採りが大好きで、ハサミが上手に使えるようになった今年は大張り切り。手あたり次第チョキンチョキン収穫していきます。次女の野詩はまだ訳が分からず、また笹より背が低いので、笹の下をウロウロするばかり。時折、私や柚希の収穫かごから笹を取ってはピリリと破いて喜んでいました。

チョキンチョキン収穫中

まずはチマキ作り

 さて、その笹でもって、まずはチマキ作りです。笹団子と違って、思い立ったらすぐに作れるのが特徴です。
 見目麗しいように笹の表を外側にして、クルリクルリと笹を円錐状に丸め、そこに洗ったもち米をぎっちり詰めます。青い笹に真白なもち米が映え、笹の良い香りに深呼吸したくなります。もち米をしっかり詰めたら、もう一枚の笹の葉で蓋をして、最後はほどけてしまわないようにスゲの葉で結び合わせます。たっぷりの水に浸し、もち米がしっかり吸水したら茹であげて出来上り。青大豆のきなこをまぶしていただきます。ただこれだけなのですが、小さな二等辺三角形のチマキの束を手にすると、時期が来たなぁと嬉しくなります。子供たちもチマキが大好きで、二個、三個と手を延ばし、口の周りをきなこだらけにしてパクつきます。

笹を円錐状に丸め、そこに洗ったもち米をぎっちり詰めます

スゲの葉で結び合わせます

小さな二等辺三角形のチマキの束

村の母ちゃんの笹団子

 今年はさらに村の母ちゃんに笹団子の作り方を教わりました。
一升の米粉にヨモギを混ぜてしっかりこね、丸めたあんこをくるみ、笹の葉二枚で包み、スゲで結び合わせ、蒸し上げる。手順だけを書くと簡単に聞こえますが、前年の秋に米と小豆を収穫し、四月から五月初めにヨモギを摘んで、五月の終わり頃にスゲを収穫して乾かし、さらに六月に笹を採っていないと、笹団子は作れないのです。いざつくる段になっても、事前にあんこを煮たり、ヨモギを柔らかく茹でたりする必要があります。
季節ごとの山の恵みを分けてもらい、それに人間がひと手間かけて作る笹団子。蒸し上がったばかりのまだ温かい団子をお茶と一緒にいただくと、格別な味がしました。

一升の米粉にヨモギを混ぜてしっかりこねる

山の恵みと人の手業が生み出す笹団子はまるで芸術品の様

季節ごとの山の恵み

チマキにしても笹団子にしても、美味しくいただいた後に残った笹とスゲをそのまま外にポンと捨てられるのも気持ちが良くて好きです。
この夏、もう一度くらいそれぞれを作ってみたいなと思っています。

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