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エッセイ

夢が広がる子どもとの登山

2021.06.01

山の日アンバサダー
山岳ライター
小林千穂

最近、新しい山登りの楽しみを見つけました。それは息子を連れての登山です。1歳を迎えて、だいぶしっかりしてきた息子と自然を楽しもうと、この春から近所の山に登るようになりました。登るというよりは、散策すると言った方が正確かもしれません。スリングで息子を背負ってのんびり歩いています。 自然のなかはおもしろいのか、息子はスリングから身を乗り出して先を見ようとします。特にこの頃は、いろいろなものに興味を持つようになって、何かを見つけると「あ!」とか「ん!」と声を出したり、指さしをするようになりました。指の先は、花だったり、葉っぱだったり、虫だったり。そのたびに足を止めて近づき、いっしょに見るようにしています。 普通に歩けば、往復1時間足らずのコースですが、その倍以上の時間をかけています。そして、時間を忘れて景色を眺めながら、家から持ってきたおにぎりを分け合って食べます。何でもないことのようですが、心がじんわりと満たされていきます。 そのような山の楽しみは、挑戦的な山登りをしていたときには味わえなかったこと。息子が気づかせてくれた贅沢な山時間です。山の魅力は高さや険しさだけではないと、改めて思うようになりました。 息子が自分の足で歩けるようになったら、あの山の大木たちを見に行こうとか、もっと成長して荷物を背負えるようになったら、テント泊をしてみたいな、などと夢は大きく広がります。 やっぱり、山の楽しみは尽きることがありません。

昇仙峡の弥三郎岳で

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