閉じる

ホーム

  •   
  •   

閉じる

山の日レポート

山の日レポート

日本山岳会『山』より

第6回「山の日」全国大会やまがた2022が開催

2022.10.01

全国山の日協議会

地域発「山の日」レポート 日本山岳会山形支部支部

今月は公益社団法人日本山岳会山形支部支部長の鈴木理夫さんと山の日事業委員会の久保田賢次さんに綴っていただきました。

公益社団法人日本山岳会 山の日事業委員会 久保田賢次

 8月10日、11日、第6回「山の日」全国大会やまがた2022が開かれた。「山を想い、山を愛し、山と生きる。~樹氷輝く蔵王のやまがたから、未来へ~」というテーマのもと、10日には蔵王での記念登山やレセプションが、11日には、やまぎん県民ホールで記念式典・トークイベントが行われた。

 歓迎アトラクションの「花笠踊り」で、にぎやかに幕を開けた催しは、山の日恒例の「山鐘」に始まり、小林政志大会実行委員会副会長の開会宣言、務台俊介超党派「山の日」議員連盟事務局長による、土砂災害へのお見舞いに始まる挨拶に続き、吉村美栄子山形県知事、佐藤孝弘山形市長、横戸長兵衛上山市長らが、歓迎の言葉として県の山や自然、観光の魅力を語った。

 俳優で山の日アンバサダーの小林綾子さんをナビゲータに迎えてのメインアトラクションでは、山形交響楽団による生演奏のもと、「山を想い、山を愛し、山と生きる」「山形の名山と守り人たち」として、地域で環境保全などに取り組む方々の活動の様子が映像で紹介され、「樹氷輝く蔵王を未来へ」「未来へのメッセージ」と題しての蔵王第三小学校、蔵王第二中学校、山形中央高校の生徒たちによる発表へと続いた。

「やまがたの山の守り人」の方々の活動も紹介

 山形県合唱連盟による組曲「蔵王」「山はふるさと」の合唱の後のリレーセレモニーでは、山形県の吉村知事から、来夏の開催県、沖縄の照屋義実副知事らに「山の日帽」が引き継がれ、後半のトークイベントは小林綾子さん、飯澤政人さん(登山ガイド)、かほさん(登山YouTuber)らが登壇し、自身の登山との出会いや山の魅力を語った。

 冒頭からの挨拶や発表など全体を通じて、アオモリトドマツの立ち枯れが進む蔵王での樹氷の再生に関わる話や、地域の方々の地道なボランティア活動のことなど、山岳環境に対する取り組みの話題や、若者たちの活動が印象に残った。
 ホール前の広場では歓迎フェスティバルも開かれたが、展示・体験コーナーやご当地グルメ&特産品コーナーなどのブースが出展され、にぎわった。日本山岳会山形支部の皆さんも企画展示を行ったが、以下、詳細を山形支部長の鈴木理夫さんに綴っていただく。(文と写真=久保田)

山形県の吉村知事から沖縄県の照屋副知事に「山の日帽」が引き継がれた

山形支部の企画「学校から見える山」 公益社団法人日本山岳会山形支部支部長 鈴木理夫

 山形県で生まれ育ったら、誰もが山を見ながら日々を過ごすことになる。内陸部の盆地のみならず、日本海側の庄内平野でも、月山・鳥海山などの山が常に視野に入ってくる。山好きにとって山形県は、とても恵まれた自然環境にある。

 2016年の「山の日」の制定にちなんで、山形支部は県内各地の山の鳥瞰図・展望図を継続的に作成し、「学校から見える山」と名付け、小学生にプレゼントすることで、地元の山と親しんでもらう活動を実践してきた。「山の日」全国大会の開催にあたり、今まで作成した鳥瞰図・展望図を一堂に展示し、山形の山を全国に紹介して、日本山岳会山形支部の広報活動を行うことに決めた。

 今まで作成した庄内・鶴岡地区「金峯山と母狩山」、山形・西部地区「月山と葉山」、「寒河江市長岡山からの展望」、最上地区「神室のやまなみ」、「金山町上空から北方の山々」、置賜地区「残雪の飯豊連峰」、庄内・酒田地区「イヌワシが見る鳥海山」など10点に加え、昨年作成した山形市郊外に位置する大岡山からの「朝日連峰、月山、葉山」展望図の拡大版を、今回特別に作成し展示の目玉とした。横幅は2メートル40センチ程になる大作となり、ブースを訪れた方から、描かれた山がよくわかると好評を得ることができた。

日本山岳会山形支部の皆さん(マスクを外して撮影)

 展望図・鳥瞰図を作成する上で、様々な課題があった。イラストレーターの木山由紀子さんに描いていただいた絵を見ながら、地形図や文献と比較し、その確認作業に多くの時間を費やした。山の特定、山名の読み方や表記、標高の確認、その山名を記載するかしないかの判断、山以外の地名の記載のあり方等、相当の時間を掛けて「学校から見える山」の歴代担当委員が取り組んできた。

 そして、各会員の豊富な山の経験と造詣の深さが「学校から見える山」の展望図や解説文に結実していると言ってよい。なお、最大の苦労は展望図を作成し、配布する資金をどのように確保するかという点である。本部からの援助、スポンサーとなっていただいた企業等に改めて感謝申し上げたい。

 今までの活動で県内の各地区の山はある程度網羅できたと言えるが、まだ残っている山域、蔵王連峰や吾妻連峰も存在する。資金面の問題も抱えながらではあるが、「学校から見える山」の活動を継続する方向を模索している。また、今回の経験を活かし、今後も様々な場所で展示をしていくことも更に検討していきたい。(文=鈴木理夫)

沢山の展望図や鳥瞰図を展示

(日本山岳会「山」2022年9月号より転載。)

RELATED

関連記事など