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山の日レポート

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通信員レポート

最近のネパール事情 (COVID-19感染編)

2022.06.07

全国山の日協議会

 ネパール在住の米田朝子さんから同地の最新事情に関する便りです。

 日本と全く違うようで、でもなぜかなつかしい気持ちになるネパール。その理由が知りたくてここカトマンズに暮らし、気が付けばもう20年以上経っていました。
 ネパールという国を理解できたかと思っても、日々いろんな方向から思わぬことがやってきて、探求心がやむことはありません。そんな日々に一喜一憂しながら、この小さな美しい国を好きになってくれる人が増えることを願って、カトマンズの小さな旅行代理店でネパールを訪れる方のお手伝いをしております。

 最近、といっても昨年2021年秋から本年冬にかけての、カトマンズのコロナ禍の状況について記してみます。

 ネパールでのコロナの感染状況は、日本と比べても急速に感染者が増え、比較的短期間で減少するといった周期を繰り返しているようです。2021年の夏は、全国の新規感染者数が1日あたり1万人前後、首都圏のカトマンズ盆地ではおよそその半分という状況でしたが、10月に入ってそれが1日500人ほどまでに減りました。学校なども再開し、(それまでどの程度守られていたかは分かりませんが)、交通規制や集会の人数制限も大幅に緩和され、公的な規制として残っていたのは、主に出入国に関するものとまでになりました。

ジョンズホプキンス大学のシステム科学工学センター(CSSE)によるCOVID-19データ

 ところでネパールでは、秋はダサイン、ティハールという祭礼が続き、日本で言えば年末年始とお盆が一緒に来たようなシーズンです。皆一斉に帰省をするため人の移動が激しく、地域や家ごとでさまざまな集まりも頻繁に行われますから、一旦落ち着いた感染が、さてどうなるか、と思っていました。

「ティハール」という祭りのラクシュミプジャという日に各戸入口に施される装飾

親戚一同が集う「バイティカ」という日の行事の一齣

 マスク着用については、地方の村のことは分かりませんが、カトマンズ盆地に関する限り、大気汚染の影響で、コロナ禍以前から着用率は高かったので、今も多くの人がマスクを着けています。 
 しかし、いつも私の浅はかな予想を覆すネパール、常識で考えれば再度感染が増えるのではという心配は杞憂に終わります。この時期ワクチン接種が広く進んだからか、それとも多数を占めるように見えた軽症患者により感染が広がり、結果集団免疫ができていたのか、冬に向けて感染はさらに減少していき、他国に先駆けてこの長い災禍を抜けられたと安堵していました

 が、ホッとしたのも束の間、新たな変異株のオミクロン株は、あっという間にネパールにやってきたという次第です。幸いにもロックダウンは施行されず、厳しい行動制限も取られなかったこと、前回のデルタ株ほど重症患者が出なかったことで、皆さほどのストレスは感じていないようでしたが、「またか・・・」という気持ちは当然ながらありました。

 もちろん私たち観光業に携わる者にとっては、尚更でした。2021年は失われた年とでもいうのでしょうか。なにしろ2015年の大震災から、やっと立ち直ったところで、パンデミックに襲われたわけですから。
 でもネパールの多くの人たちは、打たれ強いとでもいうのでしょうか、「まいったなぁ」と嘆きつつも、前向きに、したたかに生きているようにも見えます。
 私もすこしでもそんな姿勢に学んでいかなければ・・・。
                           米田朝子 記

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