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私の北アルプス物語 2日目 木道と格闘し、涙の再会へ
2026.06.14
午前6時、清々しい空気の中、太郎平小屋(標高約2,330m)を出発しました。
初代オーナーの五十嶋文一(いそじま ぶんいち)さんの温かい見送りに背中を押され、目指すは標高約1,920mの薬師沢小屋。
ここから一気に400m強を下る、スリリングな旅の始まりです。

太郎平小屋前 出発
まずはどこまでも続く木道を進み、やがてハイマツ帯のジグザグ道へ。
ここがなかなかの曲者でした。
路面状況は「お世辞にも良いとは言えない」レベル。
妻の的確なナビゲートを頼りに進みますが、中には「ここは人間が二足歩行を諦める場所ですね」と確認したくなるような難所も。
結局、何度か「後ろ向きの四つんばい」という、野生に帰ったようなスタイルで慎重にクリアしました。
Tさんの「ナイス・ポーズです」という励まし()がなければ、今頃まだあそこでハイマツと語らっていたかもしれません。
樹林帯を抜け、湿原の開放感が心地よい「カベッケヶ原」へ。2年前は優雅に歩けたはずの木道ですが、今回は様子が違いました。
多くの箇所で木が朽ちており、まるで天然の「隠し落とし穴」状態。
Sさんが「右に傾いてます!」「穴があります」と実況中継してくれるものの、私の足はなぜか磁石のようにその穴へと吸い込まれ、何度も踏み外してしまいました。
そのたびに、仲間のみんなが嫌な顔一つせず、私のバランスを支えてくれました。
私の不器用な足取りを、根気強くゴールへと導いてくれるなかまの存在は、荒れた木道における唯一の希望の光でした。
木道は更に続き、やがて沢の音が次第に大きくなり、黒部川のほとりに佇む赤い屋根の薬師沢小屋が姿を現しました。
岩場の急坂を、一歩一歩「石橋を叩いて壊す勢い」で慎重に下りきり、ようやく到着。
時計を見ると、2年前は4時間半だった道のりに、今回はたっぷり6時間。腐った木道との格闘の跡が、このタイムに刻まれています。

簡易的な橋(ログブリッジ)を渡っている様子
小屋では、小屋番の大和景子(やまとけいこ)さんが笑顔で迎えてくれました。
再会の喜びと、無事に着けた安堵感、そしてガイドさんへの感謝の気持ちが混ざり合い、瞳のダムが決壊寸前に溢れそうな涙を必死にこらえながら(何ならちょっと鼻水をすすりながら)、宿泊代をお支払いしました。

薬師沢屋
お昼は名物の「うどん」をいただきました。この一杯のために歩いてきたと言っても過言ではありません。
休憩後は、小屋のすぐ横にある黒部川に架かる吊り橋見学。
細くて長い吊り橋で、歩くとゆらゆらと揺れます。
私は、怖くて渡ることができませんでした。
でもこれを渡らないと「高天原(たかまがはら)」や「雲ノ平(くものたいら)」に行くことができないのですよね。
何時かはここを渡る日がきます。
黒部川の豊かな水量と、薬師沢の清流が混ざり合う先端の河原に手を入れてみました。
冷たすぎて足でも滑らせて落ちでもしたらとんでもない。
恐るべし合流点。

吊り橋

黒部川と薬師沢の合流点の河原で
夕飯は、登山の疲れをすべて忘れさせてくれるような絶品。美味しい食事と、隣にいる頼もしいちっちゃなガイドさん。
今日一日の「穴ポチャ」の数々も、今では笑い話です。
難路を支えてくれたTさん、Sさん、本当にありがとうございました。明日の道も、どうぞ(私の足が変な方向へ行かないよう)よろしくお願いします。
大和景子さんへ。無線連絡で太郎平小屋に私が、無事に到着したことを伝えて下さり、本当に有難うございました。
五十嶋文一さんも安心したことと思います。

山小屋内部

2025年7月18日の夕飯

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